三重県では、昨年9月5日の地震に際し、特に津波の危険性のある地域の住民はどういった行動をとったかなどを緊急に調査し、今後の啓発に反映させることとして、以下のとおり聴き取り調査を実施しました。
● 避難に関する分析(23時57分発生の地震)
(1)地震発生時の津波の意識について
一回目の地震(19時07分発生)で津波が発生したこともあり、7割強の人が、この地震による津波の発生の可能性を意識しています。
(2)避難行動について
上記のように7割強の人が津波の発生を意識したにもかかわらず、地震によって避難した人は全体の1/4強にとどまりました。
東南海・南海地震に備え、この割合を高めていく必要があります。
(3)地震直後の行動について
すぐに避難した人は2割強しかなく、地震発生後の迅速な避難について啓発していく必要があります。
海へ様子を見に行った人が約1割いました。非常に危険な行為であることを、きちんと理解していただく必要があります。
テレビやラジオなどの情報を待っていた人が、およそ5割強にも上ることから、情報を得る前に避難する必要がある場合があることをきちんと啓発する必要があります。
(4)避難したきっかけについて
避難のきっかけとして「地震の揺れの大きさから津波の危険を感じて」避難した人は、全体の約1/3にとどまっています。
「津波警報の情報を聞いて」「市町の避難勧告」が全体の約4割をとなっています。
津波警報や避難勧告の発令後では、間に合わない可能性があります。
家族、隣人、自主防災組織の呼びかけにより避難した人は、14%しかなく、この割合を高めていくことも避難する人の割合を高める一つの手段と考えています。
(5)避難しなかった理由について
避難しなかった理由としては、「そもそも津波の危険がないところ」と判断して避難しなかった人が1/4強でした。本当に津波の危険がないのか、再度確認していただく必要があります。
気象庁、テレビからの情報、あるいは実際に海を見て「潮位変動がそれほど大きくなかった」ということから避難しなかった人は1/3弱ありました。潮位変動を確認してから避難していては、間に合わない可能性があります。
今回の地震による津波は、気象庁から1m程度と発表されましたが、特にリアス式海岸のような地形のところにおいては、局所的に大きくなる場合があります。
(6)避難に要した時間について
熊野灘沿岸地域においては、15分以内に津波が到達する可能性があることから、安全な避難のためには、地震発生後10分以内に避難をする必要があります。
しかし、地震発生後10分以内に避難した人は、4割弱でした。
(7)自宅に戻るきっかけについて
警報の解除、避難勧告の解除、自主防や消防団の連絡により避難した人は、約半数でした。
津波は繰り返しやってくることから、周囲の人の誘いや、行動を見て判断するのは危険であり、確実な情報により行動するよう啓発する必要があります。
3%ですが、テレビ・ラジオによる津波高さの情報を知り、戻った人がいますが、津波は第1波が最大とは限りません。
(8)今後の避難について
今回の地震により、新聞・テレビなどで、津波警報や避難勧告を待たずに避難する必要があるということが、何度も言われているにもかかわらず、「津波の情報を確認して避難する」「避難勧告が出たら避難する」という人が2割弱にも上ることが分かりました。
また、特に何もしないという人が10%もいることが分かりました。
海や川へ様子を見に行くという人が、まだいることが分かりました。
(9)今回の地震による意識の変化について
今回の地震により、9割を超える人が地震に対する危機感を持っていただいたので、この機会に危機感を具体的な行動に変えるように啓発していく必要があります。
●今後の防災啓発の方針
以上のことから今後、
・ 揺れを感じたら津波警報や避難勧告を待たずにまず避難すること
・ 各世帯が津波の危険が本当にないのか確認すること
・ 小さい揺れでも津波は起こる可能性があるので避難が必要
・ 安全な情報を確認するまで戻ってはいけないこと
等の啓発をしていくことが必要であると考えられます。
|